「あなたがこの物語に終止符を打ってください」
見慣れない男女6名のイラストとともに入っていたのはそんなカードだった。
気晴らしにでかけた先で見つけたCDの中にはいっていたものだ。
いわゆるコンセプト・アルバムなのかもしれないと思いながらも特に気にせずに曲だけ携帯に入れ、あなたは適当にラックの中にアルバムをしまい込んだ。
数日たったとある夜のことだ。……それは、雷鳴轟く嵐の夜だった。
急にめまいを覚えたあなたが次に目をさましたのは、見知らぬ屋敷の中だった。
その部屋の中には見知らぬソファに座った、まったく見たことのない6名の男女、そしてお面をかぶった人。
いや、その6名に見覚えはあった。……そう、最近買ったCDの中に入っていた6名の顔写真とそっくりの人たちがそこにはいたのだ。
高らかに、仮面をかぶった誰かが話しだした。舞台めいた話し方だ。
「ようこそお集まりくださいました。【神倉愛羅】にゆかりある皆様、そして見知らぬ紳士淑女の皆様! 【あなた方】に【彼らの】隠したい真実を、今ここで白日のもとに晒していただきたい! ええ、意味がわからないという方もいらっしゃることでしょう。いいのです、それでも【あなた方】は選ばれたのですから」
【あなた方】と言ったその人物は、部屋をぐるりと見回して仰々しく両手を掲げた。
自分の他にも誰かいるような口ぶりだったが、6人の男女以外、誰の姿も見えない。
6人もきょとんとした表情で周りを見回している。なにもない場所をうつろに見ているそれは、片手を優雅に揺らしながら皆々様、などと口にしている。
6名には見えていないらしい自分と仮面をつけた人の視線がかち合った。……ような気がした。目線がわからない仮面なのに【合った】とはこれいかに、などと思ったが確かに自分をみたことは、わかったのだ。
そうか、自分が【あなた方】の側なのか。そう、悟った。
仮面の人以外は自分を認識していない。透明人間にでもなったようだと思った。そもそも気づいたらここにいた、という事自体がよくわからない。
しかし、よくわからないまま、仮面の人物は淡々と、しかし口調だけは抑揚を有して語りだした。
「【あなた方】に問題を一つ出しましょう。……神倉愛羅が失踪した理由とはなんでしょう? そして……誰の、せいでしょうか?」